お互いスピーディに軍略を済ませ、いよいよ対戦マップが決定される。初戦の舞台は下邳に決まった。どちらも1拠点落とせば本陣に手が届く拠点配置となっており、マップ攻略の難所である兵糧庫を攻めずに敵本陣に乗り込めるようだ。「これはもらったな……」と花子に聞こえるように勝利宣言をしたのは島崎。ゲーム開始までの読み込み時間中ににらみ合い、両者とも気合は十分といったところだ。

そうそう、中村屋にもまだ仕事があった。前回、敗北しそうになった花子はあろうことか、島崎の椅子を蹴って妨害するという“リアルな妨害技”を繰り出したのだ。そこで前もって「なお、今回の対戦では、椅子キックなど、ゲーム外での妨害行為を行った場合、即敗北とします」と釘を刺しておく。「椅子キック封印」勧告に小さく舌打ちする花子。っていうか、花子さん……使うつもりだったんですね!



以前の孟獲のモーションとは打って変わり、軽やかな攻撃手段を得た花子。「それ見ろ! 花子様の連攻撃乱舞じゃあ!」と、婚活中の人とは思えないほど痛々しい叫びをあげ、敵陣を切り裂いていく。花子が選んだ劉備のモーションは攻撃速度、攻撃範囲ともに優れ、拠点制圧スピードも前回と比べると大きく上昇している。このあとも、敵を攻撃しつつ、島崎に瞬動を仕掛ける抜け目のなさを見せつけ、何と花子が先に拠点を制圧する。
対する島崎は瞬動による敵武将の対処に時間がかかってしまう。そして、拠点攻略中も副長と間違えて副将を執拗に狙うなど、凡ミス(副長を撃破すると拠点の耐久力は大きく減るが、副将を撃破しても拠点耐久力は1しか減らないのだ)を連発。「ゲェ! 副将!!」とボケる余裕を見せるも、島崎が拠点を落としたと同時に「敵プレイヤーに総大将出現」の文字が。「こなくそぉぉ!」と邪岩を使おうとするものの、直前で花子に消却を使われ、島崎の技ポイントは0に……。
「ははは……こりゃあ参ったぜ……」と真っ白に燃え尽きたボクサーのような島崎を尻目に、花子は軽々と総大将・辛評を撃破。(花子には失礼だが)大方の予想を裏切り、初戦を制したのは三國花子となった。花子の目論見どおり、「消却作戦」(ただ消却を使うだけ)は効果てき面のようだ。
