その後もワシの神がかった戦術とパワーアップした武器のおかげもあり、次々と領土を広げたぞい。わずか1年半ほどで中国の半分を納めることに成功したのじゃ。ん? 何じゃ? 質問があるじゃと? おお、そこの賢明な若者よ、言うてみるがよい。うむ、ワシは何でも答えてやるぞ。何、寿命が3年(推定)だという話はどうしたって? 月に一回しか侵攻できないから、このままだと中国統一までワシは生きていないのではじゃと!?


ちょっと待て、若者! えー、最初に「討伐戦闘」を1年と少しやったのう。そして、このまま毎月侵攻したとして……。ハッ! なんということじゃ! 最初から考えると侵攻戦に勝ち続けたとしても統一まで24ヵ月(2年)はかかるのか! ワシの寿命は残り半年とちょっと(推定)じゃ。じゃが、まだ領土が半分ほど残っておる! おお、なんてことじゃ! 統一前に担当者の設定という天の声によってワシは死んでしまう!
ワシの野望に、まさかこんな落とし穴があったとは……。それでもワシは天の声にあらがうべく、古今東西の書物を読み漁った。そして、ついに見つけたぞい! それは『三国志演義』内で、諸葛亮が自らの寿命を延ばすために祈祷をする、というものじゃ。実際の祈祷は『三国志演義』では魏延の不注意によって失敗してしまうが、これを成功させれば12年も寿命が延びる(『三国志演義』内でのお話です)そうじゃ。うむ! これじゃ! 『三国志演義』の本を片手に天の声(担当者)と密談をし、「じゃあ、諸葛亮が仲間になっていたら、プレイ期間を1年延長してもいいよ」と己の運命をねじまげた。しかし、肝心の諸葛亮は在野に潜伏している様子。再びワシの脳裏に「其ノ四」で経験した、人材探しの悪夢がよみがえってきたが、背に腹は変えられぬ。毎月「抜擢」や「大抜擢」などのカードを使い、諸葛亮を探す生活を開始した。

余裕がないワシは、毎月、侵攻戦を繰り返し、国力はすべて人材発掘のカードに使いまくる。兵数が減っても、回復のカードにあまり国力をまわせないのが、何ともつらい。しかし、ワシが生き延びるためじゃ、と無理やり言い聞かせてみる。心を鬼にして暴政に徹した甲斐もあってか、寿命が残りわずかになってようやく、奇跡的に諸葛亮が仕官してきた。おお、諸葛亮! 早速、祈祷じゃ、祈祷っっっ! ということで、ワシは無事、1年寿命を延ばすことに成功したのじゃった。しかし、後から考えてみると、こんな風に自分のことしか考えなくなった君主が国を滅ぼすのは歴史の必然。この後に続くまさかの結末は、さすがにワシの千里眼でも読めない展開が待っておった。
諸葛亮を自陣に迎え、寿命が延びたところで、残った領土を片付けるだけになったワシ。こうなると怖いものは何もなく、怒涛の勢いで侵攻戦を繰り返した。ワシと部下のレベルは他国に比べてかなり高く、武器も強いうえに赤兎馬もいる。「これで無事に中国統一じゃな」とワシは思った。というか確信しておった。

しかし、無情にも事件はやってきおった。なんと貂蝉が、ワシの配下を連れて逃げ出してしまったのじゃ! どうやら「貂蝉連環の計」というイベントが発生したらしいの。このイベントが発生すると、貂蝉と配下武将の半分がいなくなってしまうのじゃ。一瞬、イベントが起こったとき、ワシの頭の中は真っ白。「一体、何が起こった!?」と呆然としてしまった。しかし、直後、我に返ったワシはあわてて残った配下をチェック。すると貂蝉は大事な諸葛亮も連れていってしまったらしい。ワシの脳裏に「せめて諸葛亮さえ残っていてくれれば……」という声がよみがえる。まさかこんな形で寿命を迎え、ワシの野望が潰えてしまうことになるとは……(涙)
