ユミルカとニナは、ジャマイカの街で仲良く育った双子の姉妹。
小さいときにお母さんを亡くし、お父さんも漁に出たまま行方不明ですが、島の人たちに愛されて元気に育ちました。
でも時々姉妹は思うのです。「この海の向こうに行けば、お父さんに会えるのではないか」と。
そんなある日、島に1隻の商船がやってきました。見たこともない大きな商船でした。
「この船は、きっとお父さんのところへ行くんだ!」
そう思った姉妹は、商船に忍び込みました。積荷の中にこっそり隠れました。
やがて夜になり、商船は碇を上げ、島を離れていきます…。
姉妹が気付いたときには、もう二人の育った島は影も形も見えなくなっていました。
見渡す限りの大海原を走る商船は、見知らぬ土地へ向かう姉妹のようで、とても不安…。
でも、その中にある、可能性へのほんの少しの期待。
長い長い航海の後、商船はある街へと到着しました。
そこはとても賑やかで、姉妹の不安も少しだけ和らぎました。
「そこに隠れているのは誰だい? …お嬢ちゃんたち、二人で来たのかい?」
積荷に隠れていた姉妹を見つけたのは、荷降ろしの最中の、商人風のおじいちゃん。
「お父さんを探しに来たの」
「このお船に乗ったら、お父さんに会えると思って」
姉妹は不思議と、その人物に不安は抱きませんでした。
「ほう…、この船はジャマイカからの商船のはず…。そうか、わざわざジャマイカからお父さんを探しにきなすったか。強い子供たち、ようこそセビリアへ。どうだい、おじいちゃんの家に住んで、お父さんを探さないかい?」
「うん!」
姉妹の顔は、まるでセビリアの太陽のように明るく輝いたのでした…。