開拓団の皆さんには、
3つのことを謝らなければなりません。
1つ目はアゾレスでの日々。
ダミアンさんやレミーさんを初め、多くの方が問題の解決に動いていました。皆さんの強い意志がアゾレスの人々の心を動かし、この新しい船ができあがったのです。
それなのに私は何の力にもなれませんでした。
2つ目は、数日前の出来事について。
アゾレスでの遭難を乗り越えてからの私たちの旅は驚くほど順調でした。
しかし、次の寄港地・サントドミンゴを前に、私たちはカリブ海賊の襲撃を受けてしまいました。
私も剣のたしなみがあります。後れを取るつもりはありませんでした。開拓団には腕の立つ方も多く、海賊に襲撃されたとはいえ、事態は容易に収まると考えていました。
ですが、その最中に私は見てしまったのです。
海賊の一団に“あの人”の姿を……。
予想外の出来事に私は戦いを忘れ、
ただただ立ち尽くしていました。
結果、海賊に隙を突かれ、仲間の何人かが連れ去られてしまいました。そして再び旅を中断せざるを得ない事態を招いてしまったのです。
最後は、これから私が実行しようとしていること。
私は“あの人”の正体を探るため、一人で情報を集めていました。
そして今、一つの確信に至っています。
私はこれから“彼”が潜伏するという地に向かいます。これは私がかつて海賊の道を歩み出すことになった目的でもありますし、何よりこの行動が、捕らわれた人たちを救う最良の手段であると信じています。
開拓団を追放されてしかるべき身勝手、許されるとは思っていません。ですから今は、ここに別れの言葉を記しておきます。
「さようなら。
私に幸運があれば、またお会いしましょう」
海賊だった恋人が遠海で死亡したという噂を信じられず、情報収集のため自ら海賊の世界に飛び込む。剣術に長けているが、海賊行為には手を染めなかったようだ。
冷静だが悲観的過ぎるきらいがある。