第一回:旅立ち/レミー

大勢の市民と王室の方々の盛大な見送りを受け、船は出発しようとしています。

初めは「船を出せないまま、この旅は終わるかもしれない」と心配したこともありました。しかし航海者の皆さんのお陰で、今日の船出を迎えることができました。素性を明かせなかったにも関わらずここまで助けてくれたこと、決して忘れません。



これからの長い船旅、何が起こるかはわかりません。「危険な旅になることは覚悟しておけ」と爺さんたちにも言われています。今日からは船員として、船の仕事をしっかりとこなしていきたいと思います。


 


――振り返れば、もうひと月も前の話になります。
旅立ちを決意し、いよいよ我が家を出る日。父は何も言いませんでした。母は最後までこの旅に反対し、妹はずっと泣きじゃくっていました。

家族に寂しい思いをさせていることは間違いありません。でも、僕の選んだ道が家族の幸せにつながることを証明したいのです。


 


僕たちが目指すヌーベルフランスは、どのようなところなのでしょう。
想像を絶する広大な土地だと聞きますが、冬の厳しさと本国からの支援不足のため、開拓計画はいずれも失敗に終わったそうです。



でも今回は違います。王室は惜しみない支援を約束してくれました。そして頼もしい仲間もいます(変わった方も多いですが)。

家族のため、ヌーベルフランスの広大な土地で畑を作り、ゆくゆくは大農園に育て上げたい。
僕の夢を叶えるための“新たなる航海”。
その第一歩が始まりました。


 

フランスのとある地方の小さな農家の長男。両親と小さな妹がいる。
今回、王室支援の下で“新たなる航海”に旅立つ。家族に楽をさせてあげたい一念で、大農園を作ることを夢見ている。