母は普段とても厳しかったから、
そうやって酒を飲んで笑っているのを見るのが、とても好きだったんだ。
嬉々として知らないもの同士が肩を並べ、熱く語り合い、美酒に酔いしれる。
彼らも、ただその宴に身を委ね、乗じているわけではない。
豊作は、それこそ自然の気まぐれもあるのだが、一朝一夕で結果の出るものではない。
農民たちの並々ならぬ時間と努力が投じられている。
1年間の労いと、次の一年間への祈りと。ある意味、儀式でもあるのだ。
母と訪れた幼き日以来、ワイン祭りには参加したことがなかった。
今年はマルセイユでかなり大規模な祭りが行われるようだから、
僕もこっそり参加して、母を偲んでこようと思う。
みんなとも、どこかで会えるといいね。
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