光秀スチル

桔梗姫の姿で修練所へやってきたほたる。

佐吉「姫様…! いらしていたのですね」

ほたるを見つけた佐吉が、修行を中断して駆け寄ってきた。
その懐からは、小袖の端切れがのぞいている。
以前、鍛錬で汗を流していた佐吉に、ほたるが贈ったものだ。

ほたる「ずっと持っていてくれたのですか? 女物の端切れなど、普段、使いにくいでしょうに」
佐吉「いいえ。姫様がくださったものですから」

佐吉ははにかんだ微笑みを見せ、次いで静かにこう言った。

佐吉「けれど、使うというよりは大事に眺めて、勇気をいただいています」
ほたる「勇気?」

意外な言葉の意味を問いたくて、聞き返すほたる。
佐吉は「はい」とうなずいて、ほたるの目をまっすぐに見つめた。

佐吉「あの、姫様。失礼ながら、少しお耳を貸してくださいませんか」

佐吉は背伸びをすると、ほたるの耳元に唇を寄せて──。