恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜STORYダイジェスト02
  守護聖たちからサクリアを授かり、聖獣の宇宙へと運ぶ使命にも慣れてきたエンジュ。
けれど、闇の守護聖クラヴィスの人をよせつけない雰囲気に圧倒され、なかなか拝受することができません。
今日こそはと、意を決してクラヴィスの元へお願いにいきますが、「お前は、闇のサクリアを受けとめられる器なのか?」と、己の価値を問うような重い言葉を投げかけられます。
なおも食いさがろうとして、クラヴィスが読んでいた書物を川に落としてしまうエンジュ。思わず水に飛びこんで、書物を拾いあげ、必死にあやまりますが、クラヴィスは去っていってしまいます。
その場にいあわせたルヴァは、エンジュを館へ連れていき、濡れた服を乾かす間、クラヴィスについて話してくれました。
わずか6歳で、たったひとりの家族だった母と引き離され、聖地に召された悲しい過去。聖地と外界とは時間の流れが違うため、二度と家族や友人に会うことはできません。クラヴィスが大切そうに読んでいた本は、故郷の言葉で書かれたものだったのです。
 エンジュは自分のしてしまったことの大きさに苦しみますが、自分にできるかぎり書物の修復をしようと決めます。忙しい使命の合間に、夜遅くまで図書館で根をつめるエンジュ。クラヴィスは、その姿を黙って遠くから見ていました。
ルヴァは、そんなエンジュを気づかい、手助けします。そしてルヴァが語った、もうひとつのクラヴィスの過去とは――。
まだ少年守護聖だったときに、女王候補として聖地へやってきた少女と心通わせたこと。しかし彼女は、宇宙に身を捧げる女王の道を選びました。その折の行きちがいや心の傷がもとで、クラヴィスは他人に対して心を閉ざすようになってしまったのです。
そして、クラヴィスが繰りかえし読んでいた書物とは、愛を綴る詩集でした。
エンジュは月明かりの美しい湖のほとりで、クラヴィスに修復を終えた書物を返します。
その本に毎日ふれているうちに、闇の安らぎについて何かを得たエンジュ。クラヴィスは「今宵より、お前を知る努力をはじめよう」と、安らぎにみちた闇のサクリアを彼女に与えるのでした。
 
  エンジュは夢を見ます。
どこかの森で、誰か男性に手をさしのべられる夢――。
目覚めれば、日の曜日。使命はお休みの日ですが、宮殿をおとずれたエンジュは、ロザリアから見知らぬ紅い髪の少年を紹介されます。彼の名はメル。占いを得意とする「火龍族」の若者で、聖地の皆とは旧知の間柄のようす。今日は用があって、一族の住む龍の惑星から出かけてきていたのです。
メルは水晶球でエンジュのことを占い、「過去に心を傷つけられたために、自分の中に眠る強く熱い想いを消そうとしている」と告げます。そして、「あなたはまた、きっと恋をする」と。
手いたい失恋の経験があるエンジュは、図星をさされてひどく動揺し、「全部はずれてます!」と強く否定してしまいます。
愛のおとずれを告げる占いと、奇妙な夢を思いあわせて、妙にドキドキしてしまうエンジュ。
宮殿内の庭園でアーチェリーの練習をするランディと会い、弓の手ほどきをうけますが、接近されて過剰に意識してしまい、あわてて走り去ることに。
竪琴の音に誘われて庭園の奥へ進むと、リュミエールとオリヴィエがいました。
オリヴィエはエンジュの話をきいて、「恋をすると言われたのなら、自然に受け入れればいいじゃない」と、気楽にかまえるようアドバイスします。
まだわりきれないエンジュは、テラスでルヴァにお茶をごちそうになり、ようやく気持ちを落ちつけるのでした。
そこへ、心配してやってきたランディ。ルヴァは自分の心をかくし、ランディにエンジュと一緒に休日を過ごすようにすすめます。
ふたりは宮殿を出て、人でにぎわう庭園をおとずれ、そこで楽しい時を過ごします。
エンジュが気になってやってきたゼフェルは、帰り道でにわか雨にあい雨やどりするエンジュに上着を貸し、ぶっきらぼうな態度ながら優しさを見せます。
いろいろなできことがあった一日。男性に近づくことをこわがっていたエンジュも、ちょっとだけ進歩したようです。
 
  エンジュが運ぶサクリアの力で、少しずつ状態がよくなっていく聖獣の宇宙。
けれど、聖地の氷はまだとけません。エンジュは、女王を目覚めさせるためにもがんばろうと心に誓いす。
神鳥の聖地へ戻ったとき、ふしぎな光に包まれ、エンジュは原因不明の昏睡状態になってしまいます。
守護聖たちやロザリアが見守るなか、だんだん衰弱していくエンジュ。過去の歴史やデータを調べても打つ手はなく、焦りがひろがります。
そのころ、エンジュの意識は知らない空間にいました。小さな光球に導かれて、たどりついた泉。そこには、たくさんの光球が群れ飛んでいました。
しかし、気がつくと光球は、ひとつ、またひとつと消えていきます。
助けを求められているのに何もできない悲しみに打たれ、エンジュが思いだしたのはリュミエールの言葉。
「見せかけではない、本当の優しさだけが、傷ついた者を救うことができる…」
エンジュは、「私の想いじゃ、この子たちを救えないんです」と、リュミエールに助けを求めます。
リュミエールはエンジュの声をきき、光に包まれると、彼もまた倒れてしまいます。
ほかの守護聖たちは、リュミエールがエンジュの元へ行ったのだと信じ、彼女を助けてくれるようにと祈るばかりでした。

リュミエールは泉のほとりに現れ、エンジュは思わずその胸に飛びこんで泣いてしまいます。
そこに出現したのは、聖獣の女王の幻。この泉は「魂の泉」。これから聖獣の宇宙に生まれる生命となる「星蛍」と呼ばれる光球たちをはぐくむ場所ですが、女王の力が弱まったために、泉は枯れようとしていたのです。エンジュに助けを求め、女王の幻は消え去ります。
リュミエールのサクリアの力でも救うことができず、危機をむかえる泉。
エンジュは泉に飛びこんで、「私の力を…私の命を、魂の泉に…!」と祈りを捧げます。
後を追い、飛びこんだリュミエールでしたが、ぐったりしたエンジュと光の消えた泉に、絶望しかけます。
すると、泉から星蛍たちが新たに生まれいで、エンジュも息をふきかえしました。泉は生命力を取り戻したのです。

リュミエールとエンジュの意識は、無事聖地へ戻りました。
そして、エンジュが救った星蛍たちが、聖獣の宇宙にはじめての人類として誕生したのです。
宮殿をおおう氷も砕け散り、エンジュは希望を見いだすのでした。
 
  人類が誕生して、さまざまな惑星が大きく発展をはじめた聖獣の宇宙。
その中のとある惑星に向かうことを命じられるエンジュですが、いつも子供あつかいしてからかってくるオスカーが一緒なので、ちょっと緊張ぎみ。
惑星キリエヴィルは、発展途上の星。一度、洪水によって地表を洗い清めることで進化を進める計画がはじまっていました。けれど、そこにはささやかな暮らしをいとなんでいる人々がおり、彼らの命を救いたいとエンジュはうったえます。
オスカーは、もっと大局的な目で見なければいけないと説きますが、エンジュはあきらめられません。
聖獣の女王に祈りを捧げて力を借り、白い翼をひろげた姿で人々の前に姿をあらわし、告げます。
「いますぐ大きな船を造り、洪水がおさまるまで、その中で生き延びるのです」
今まで見たこともないような、大人びたその表情に、思わず圧倒されるオスカー…。
エンジュは船を造る人々を導き、女王が乗り移ったかのような力を発揮してまわりますが、すさまじく体力を消耗していきました。
そんな中、ついに雨が降りはじめました。
見かねたオスカーが、「もっと冷静になれ」と言いきかせますが、彼女は聞こえてきた声の方へ進んでゆきます。
そこには、恋人を失い、生きる気力をなくした青年ラキンの姿が。
光に包まれたエンジュが現れると、ラキンは恋人だと思いこみ、もう一度生きる力を取り戻して船へと向かいました。
抱きあうふたりを見つめ、「このオスカーが、嫉妬…?」と、自分の中に湧きあがる新たな気持ちに当惑するオスカー。
力を使いはたしたエンジュを抱き上げ、オスカーは次元回廊へ運びます。その唇にくちづけようと身をかがめますが、「今は、触れまい…」と思いとどまるのでした。
聖地に戻ったのち、オスカーはエンジュに対して相変わらずの態度でしたが、その胸にはキリエヴィルでエンジュの摘んだ野の花が差されていました。
 
 
【STORY I(1〜4話)】
【STORY III(9〜13話)】
 
 
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