まったく予想もしないセリフに、全身固まってしまう。
でも、凍りついたのはあたしだけじゃなくって。ギャラリーも、ロトφのみんなも、言葉がない。
だけど、やっぱり、その言葉を向けられた彼が一番青ざめてしまっていた。
ようやっとしぼりだすように謝って、ものすごい勢いで頭を下げる。
それを認めると、今度はギャラリーに向かって言い放った。
その言葉をきっかけに、一気に生徒たちが散っていく。波が引くように、これまでのことはいったいなんだったのってくらい、あっさり。
そしてけっきょく、ロトφの6人、それからシンシアとあたし――とクッキーだけが残った。
人波が引いたのを見計らうようにして、ロイの腕があたしから離れた。
真正面に向き合い、いまさら顔が赤くなってくる。まともに顔が見られない…!
それに気づいたのか、容赦なくツッコミが飛んでくる。
わかってるし…!思わず反発するように顔を上げると。
――と。あきれ顔が余裕の笑みに変わった。“それでいい”って言ってるみたいな。
~~~この人…!
背後から、リヒャルトが怖い顔で詰め寄ってくる。
それがなにか? というふうに、ロイは小さく肩をすくめた。
過ぎたことを言っても仕方ねえだろ。すっぱり切るようにリヒャルトをあしらう。
そのままするっと勝ち逃げしようとして。
ふとなにかを思い出したように、振り向く。
心底まったく思いつきもしなかった、という表情を読み取られ、軽くあきれられてしまう。
一生懸命弁解するあたしの頭をぽん、と叩いて。ロイはそのまま立ち去ってしまった。
あっけにとられたリヒャルトを素通りするようにクッキーが駆けてく。
それを追いかけるように、ウィリアムさんも立ち去っていった。
ジャン=マリーさんとアレクセイさん。まったく対照的な態度を示して去っていく。
さて、と、これまで成り行きを見守っていたシンシアが口を開く。
シンシアの提案をあっさり受け入れたエミリオとは逆に、リヒャルトは不服そう。
これ以上食い下がっても、と思ったのか、リヒャルトは観念したように軽く息をついた。
そのまま、エミリオと一緒に立ち去っていく。