スペシャル

「零」シリーズは、「射影機(しゃえいき)」というカメラを使って
実体のない幽霊達と戦う、和風ホラーアドベンチャーゲームです。
ぎりぎりまで霊を引き付けたり、静寂の中に潜む音に注目したりして、
迫りくる恐怖を体感することができます。

本シリーズは、映画や小説、漫画、ホラーアトラクションなど、
多数のメディアミックス展開でも注目を集めてきました。

このページでは、シリーズプロデューサー菊地啓介と
シリーズディレクターの柴田 誠が各タイトルを紹介いたします。
「零」シリーズ 20年のあゆみ
本物の恐怖がここにある
タイトル
零 ~zero~
発売日
2001年12月13日
対応機種
PlayStation®2
概要
廃墟となった日本家屋に入り、カメラで謎を解いたり戦ったりするホラーゲームシリーズの一作目です。
「想像力に訴えかける恐怖」をテーマに、障子の影や天井裏など「何もないところが怖い」という和の怖さを凝縮したゲームを目指しました。プレイヤーに霊感があるかのような体験をしてもらうために様々な要素が調整されており、歩いているだけで冷たい空気や暗闇に潜む気配を感じることができるタイトルになっています。
物語
主人公の雛咲深紅ひなさきみくが兄である真冬まふゆを追って、氷室邸を訪れるところから物語が始まります。
歴代主人公は霊感があり、想いが残っているモノに触ると過去の映像がフラッシュバックするという能力を持っていて、それが謎を解いていくカギになっています。
キリエというボスの怨霊に触れられると四肢に縄の跡が付いていくのですが、深紅はその度にどんどん過去の氷室邸に遡っていきます。深紅の首に縄の跡がつく前に呪いの元凶にたどり着き、兄を助け出そうとする物語になっています。 縄、鏡、写真、仮面など和風ホラーの不吉な要素を一つに凝縮しつつ、主人公の境遇が零になる切なさがテーマになっています。
射影機バトル
霊を封印できるカメラ「射影機しゃいえいき」でのバトルはこのシリーズの特徴ですが、遊びは作品ごとに変わっています。1作目は射影機を構えて霊を長い時間サークル内に捉え続けるとパワーがたまっていき、シャッターチャンスを狙えば大ダメージを与えることができるという遊びでした。
コンセプトカラー
コンセプトカラーはモノクロ+深紅で、荒廃した色味の少ない屋敷に主人公の赤色だけが彷徨うというイメージでした。ゲーム内で見るフラッシュバック映像もすべて荒れたモノクロフィルムのような映像になっています。
関連作品
タイトル
FATAL FRAME 零 SPECIAL EDITION
発売日
2003年2月6日
対応機種
Xbox
ずっと、いっしょだよね… 約束だよね…
タイトル
零 ~紅い蝶~
発売日
2003年11月27日
対応機種
PlayStation®2
概要
一作目の霊感を体験するベースの上に「物語の怖さ」を加えようと作成したタイトルです。
主人公が二人に増え、舞台も一つの村と大きくなってスケールアップしました。イメージトーンも一作目の冷たく痛々しいものから、幻想的で哀しいものとしました。
物語
主人公は双子の姉妹、天倉 澪・繭あまくら みお・まゆです。姉の繭は、紅い蝶に導かれるように「地図から消えた村」の奥へと誘われていきます。澪は繭を連れて村から脱出しようとしますが、二人の行動は過去の惨劇をなぞっていく……という展開になっており、最後は「最高のバッドエンド」「最悪のグッドエンド」へとたどり着きます。
「一つだったものが二つに裂かれる悲劇」と「再び一つに戻ろうとする願い」がテーマになっています。
ドラマ性を補強するためにイメージムービーを下山 天しもやま てん監督に作成していただき、主題歌に天野 月あまの つきさん(当時は天野月子あまのつきこ名義)に書き下ろしていただいた『蝶』を採用させていただきました。数年後に判明するのですが、天野さんは事前に渡していたストーリーを読まずに歌詞を作成していました。ですので、エンディングの内容と歌詞が極度に親和性が高いのは、驚くべき偶然なのです。
射影機バトル
紅い蝶のバトルは、じわじわ近づいてくる霊のシャッターチャンスを狙うというシステムで、霊の動きをしっかり見て一瞬を狙う遊びとなっています。複数の敵を相手にしたり、霊を連続で追加撮影したりする要素を加えました。
コンセプトカラー
コンセプトカラーは紅で、村のあちこちに飛ぶ紅い蝶がシンボルとなっています。この紅い蝶は何なのかは、エンディングで明らかになります。
関連作品
タイトル
FATAL FRAME II CRIMSON BUTTERFLY DIRECTOR'S CUT
発売日
2004年11月11日
対応機種
Xbox

タイトル
零 眞紅の蝶
発売日
2012年6月28日
対応機種
Wii
©2012 Nintendo / コーエーテクモゲームス
侵蝕する恐怖
タイトル
零 -刺青ノ聲-
発売日
2005年7月28日
対応機種
PlayStation®2
概要
前作までの要素に加え「日常が侵食される怖さ」をテーマに作成したタイトルです。
これまでのシリーズのような廃墟となった日本家屋と日常生活をする行き来することで、零の恐怖が日常にも染み出してくる怖さを目指しました。
物語
主人公は、恋人を事故で失ったカメラマン黒澤 怜くろさわ れいです。
怜は、夢の中で死んだ恋人を追って奇妙な構造の日本家屋へ入っていき、刺青が浮かび上がる霊たちに襲われます。眠りから覚めた怜の体にも次第に刺青が広がり、この呪いを解く手がかりを求めて眠りの家を探索し始めます。
眠りの家で撮影した写真は、目が覚めた後もフィルムに残っています。
その写真を調べることで、いにしえの儀式の秘密が明らかになっていくのです。
怜は、雛咲深紅ひなさきみく天倉 蛍あまくら けいと共に夢と現実を行き来しながら、眠りの家の最奥へ向かっていきます。
「残された者の痛み」「落ちた水、涙はどこに行くのか」というテーマで物語を作りました。
主題歌は、天野 月あまの つきさん(当時は天野月子あまのつきこ名義)の『こえ』を書き下ろしていただきました。この主題歌には、天野さんが近しい人を亡くした体験をもとに作られたと聞いています。ですので、曲をお願いすると「曲はすでにできている」と言われたことを覚えています。
射影機バトル
3人の主人公である黒澤 怜くろさわ れい雛咲深紅ひなさきみく天倉 蛍あまくら けいは固有の能力を持っており、特性に応じた戦い方をすると有利に戦えるようになっています。
コンセプトカラー
コンセプトカラーは刺青の青です。生き残った痛みを表す、刺すような冷たい青としました。
恐怖を体験する
タイトル
零 ~月蝕の仮面~
発売日
2008年7月31日
対応機種
Wii
概要
グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一すだごういちさんをディレクターの1人として迎え、当社と任天堂、グラスホッパーの3社で「体感する恐怖」をコンセプトに制作したタイトルです。
Wiiリモコンを傾けて懐中電灯を照らしながら探索したり、アイテムを拾うときにボタンを押している間だけ手を伸ばす「触るシステム」を搭載したりして、「体感する恐怖」の実現を目指しました。
©2008 Nintendo / コーエーテクモゲームス
物語
祭のさなかに神隠しにあい記憶を失った少女たちが、失われた一日の記憶を求めて再び島を訪れる物語です。主人公は水無月流歌みなづきるか麻生海咲あそうみさき月森円香つきもりまどか霧島長四郎きりしま ちょうしろうの4人です。
神隠しにあった少女たちと島に逃げ込んだ犯人を追う刑事が、それぞれの記憶を取り戻していくことで、祭り日に何が起きたかを明らかにしていきます。

ゲームのテーマが「体感」でしたので、音楽や場所の匂いと共にかつての記憶がよみがえるようなストーリーにしようと「“わたし”を作る記憶の喪失」「全ての記憶をなくした後に残る魂」といったテーマで物語を作りました。 主題歌は、天野さんに『ゼロの調律』『NOiSE』の2曲を提供していただきました。
射影機バトル
Wiiリモコンのポインティングを使った射影機バトルを考えていましたが、繊細な操作が必要になったため、霊をロックオンしタイミングをはかるシンプルなものになっています。
また霊を撮影していると“咲く”ことでパワーアップするといったハプニング要素を入れました。開発初期には“咲いた”霊にロックオンしていると主人公がダメージを受けるというアイデアもありました。
コンセプトカラー
コンセプトカラーは月光の黄色で、黄色を目立たせるために補色となる青紫も使っています。奇しくもグラスホッパー・マニファクチュアが作成するゲームには月が出てくることが多く、天野さんの名前が「月」であったため、符合するカラーとなりました。
死の山、幽婚、神隠し すべては水でつながっている。
タイトル
零 ~濡鴉ノ巫女~
発売日
2014年9月27日
対応機種
Wii U
概要
WiiUのゲームパッドをカメラに見立て、「カメラを持って心霊スポットを体感する」をコンセプトに制作したタイトルです。
さまざまな水の表現にこだわり「濡れる恐怖」もコンセプトになっています。
©2014 Nintendo / コーエーテクモゲームス
物語
霊場であった日上山を舞台に、3人の主人公(不来方夕莉こずかたゆうり放生 蓮ほうじょう れん雛咲深羽ひなさきみう)がそれぞれの過去、それぞれの秘密を抱えながら謎に近づいていく物語となっています。
メインとなる主人公の夕莉は、神隠しにあった人を探す影見かげみの仕事を引き受けるうちに、死の山の儀式の秘密、濡鴉の巫女の役割を知っていきます。
「誰にも言えない秘密」「死の孤独」「幽婚ゆうこんの救済」をテーマに物語を作成しました。

テーマソングはAnjuさんに『HIGANBANA』を用意していただき、もう一つのタイアップソング『鳥籠-in this cage-』を天野さんにお願いしました。
最終ボスとなる逢世おうせの心情を描いていただいたと思います。
射影機バトル
霊の顔や手足にカメラの顔認証のような撮影ポイントがあり、ゲームパッドを傾けて多くの撮影ポイントを写しこむと大きなダメージを与えることができるという遊びになっています。Wii U GamePadをカメラに見立てるので、直感的に霊を撮影できるタイトルになりました。
コンセプトカラー
コンセプトカラーは濡羽色ぬればいろです。別名「濡烏ぬれがらす」とも言われ、濡れた黒髪や鴉の羽のような艶のある黒色です。複雑な反射をする色ですが、見る角度で色が変わって見えるというのが、夕莉と蓮が見た逢世の想いが違うというようなストーリー設定にも合ったカラーとなっていました。
ノートを覗くと開かれる異界への扉。
タイトル
心霊カメラ ~憑いてる手帳~
発売日
2012年1月12日
対応機種
ニンテンドー3DS
概要
ニンテンドー3DSの『心霊カメラ ~憑いてる手帳~』の中に用意された1つのコンテンツです。3DSを射影機に見立て、ARを使って手帳に隠された謎を解くというゲーム内容になっています。
「射影機」「霊」「和風」という要素で零シリーズに近いタイトルですが、他のシリーズとは独立したストーリーとなっています。主人公=プレイヤー自身という点も、他のタイトルはちょっと異なるゲームです。
©2011 Nintendo / コーエーテクモゲームス
天野 月あまの つき
Official web site
2001年4月1日シングル『箱庭』でインディーズデビュー。同年11月メジャーデビュー。
「零」シリーズでは2003年発売の「零 ~紅い蝶~」にて、初のテーマ曲となる「蝶」を提供。
以降、シリーズの世界観を担う人気楽曲を提供している。