異邦人たちのエピローグ
秘密の思い出箱

異邦人たちが元の世界へ帰る少し前――
秘密の隠れ家とは言わずとも、この世界に何かしら秘密のものを残したいと考えたライザの発案によって、彼女たち7人は大きな木の下に集まっていた。
- ライザ
- ――というわけで、この木の下に思い出の品を
詰めた箱を埋めようと思ってさ。どうかな? - パトリツィア
- それで、この世界での思い出の品を持ってくるよう
言っていたんですね - クラウディア
- うん、いいと思う! 元の世界に持って帰れないし、
どうしようかなって悩んでたの
ライザは、錬金術で調合した大きな箱を取り出す。
7人みんなのものが入るようにと、両手で抱えるほどの大きな箱だった。
- ライザ
- あたしはね……
カフェで働くみんなとお揃いの飾りと―― - ライザ
- リンデ祭で
クラウディアからもらったマフラーと手紙! - クラウディア
- 私も! ライザにもらったマフラーと手紙を
持ってきたの。この世界での大切な思い出だから - タオ
- 同じ日に同じものを贈り合うなんて、
二人って本当に仲がいいよね - タオ
- 僕もパティが――星誕の使者が
プレゼントしてくれた地図を持ってきたんだ - パトリツィア
- ……懐かしいですね。これを受け取った時の
タオさん、すぐ遺跡調査に向かっちゃって―― - パトリツィア
- でも、無事に帰ってきてくれたので。
タオさんが嬉しそうで、私も嬉しかったですし - レント
- 俺は王都の武闘大会で入賞してもらったメダルだ!
何度も挑戦して、ついに手に入れた記念の品なんだ - リラ
- お前の活躍はロゼから聞いているぞ。
よくやった - レント
- へへ……あざっす!
- リラ
- 私は、あまり思い出の品といったものはないが……
強いて言うならこれだろうか - クラウディア
- それは……ケイウンのものですか?
- リラ
- ああ。
鬼門と永遠からもらった、ケイウンのお守りだな - ライザ
- そういえば、リラさんたちと鬼門たちって
なんか親しいよね。何かあったの? - リラ
- まぁ、色々とな
- アンペル
- 私もケイウンのお守りを持ってきた。
あとは……ララ・キングダムの―― - タオ
- わ、なんか質の良さそうな栞ですね。
意匠も綺麗…… - アンペル
- ああ。友好の証だとかでもらったんだ。
ララが、秘書にならないかとうるさくてな - クラウディア
- ララさんとは色々ありましたけど、
いい関係に収まったみたいでよかったです - レント
- それで、パティは何を持ってきたんだ?
- パトリツィア
- えっと、少しかさばっちゃうんですが……
星誕の使者の衣装です - パトリツィア
- 星誕の使者は、とても楽しい経験でした。
誘ってくれたレスナさんに感謝です
箱に全員の思い出の品が収められ、ライザによって蓋が閉められる。
錬金術で作られたこの箱は、その中にあるものを長期間保護し、収めた当時の状態を維持してくれるという優れものだ。
- ライザ
- よし、じゃあ箱を埋めるよ!
レント、タオ! ここを掘ってちょうだい! - レント
- まったく、ライザは俺たちの扱いが雑だよな……
ま、これも鍛錬の1つだと思えば!
しばらくして、大木の根本に箱が埋められた。
上から土と草を被せ、その痕跡を隠す。
これで、ここに箱が埋められていることは、ここにいる7人しか知りえなくなった。
- クラウディア
- ……私たちだけの秘密だね
- ライザ
- またこの世界に来ることができたら、
その時はみんなで掘り起こそう - パトリツィア
- それまで、私たちがこの世界で過ごした日々や
思い出が、ここにちゃんと残るんですね - ライザ
- うん。なんだかとっても、素敵だよね
ライザたちはしばしの間、箱を埋めた大木の根本に腰かけ、この世界での思い出について話を弾ませた。
思い出話は尽きることなく、楽しそうに笑顔を浮かべる7人を、大木がそっと見守っていた。
