あれから数日は、浪速屋の姿を見かけなかった。作戦が功を奏した。そう思っていたんだけど、ある日、久しぶりに浪速屋に両替商前で出くわしたの。向こうも気が付いたようで、ニヤッと笑ってこう叫んだわ。
「さーさー、『誰も売っていない』薬の大安売りでっせー! これらを安う買えるのは『浪速屋だけ』! またとない機会や、買うたってやー」
品揃えを見ると...ゲ、まだ私が数種類しか作れない「丸薬」をいろいろ売ってる。ここ数日姿を見せなかったのは、丸薬作成のためだったのね。クヤシー! でもよく考えると、ちょっとおかしい。丸薬を生産できるようになるためには、粉薬を作りまくって、技能を修得しなくちゃいけないはず。作った粉薬はおそらくお店やさんに売ったんだと思うんだけど、作るための材料はどうやって手に入れたんだろう。

聞き込みをしてみると、事の真相がつかめたの。浪速屋はお金に困っている忍者さんに的を絞って材料採集を依頼していたみたい。なるほど、やるじゃない。忍者さんなら全ての採集技能持てるから、少ない人脈でも一通り材料そろえられるもんね。そっちがそう来るならこっちだって考えがあるわよ。

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イメージ ・いくら忍者が全ての材料を採集できると言っても、時間的制約などから採集できる「量」には限界がある
・人脈でアドバンテージがある、ということは浪速屋より材料を多く集められるということで、生産する数も多くでき、浪速屋より早く生産の技能の修得ができる


この利点を活かして「浪速屋より早く技能修得して、浪速屋が売っていない商品を売る」という作戦よ。
さらにもう一つの秘策を用意したの。あちらは忍者さんがカギを握ってるんですもんね。前回と同じように薬を作りに作り、売れ線でない商品は換金して不足の材料購入に当ててと。丸薬作成となると、「ジャコウ」と、とりわけ「牛黄」が大量に必要なのでここら辺中心にね。多少赤字だけど。それから「劇薬」「毒薬」「呪詛」の薬も一部を残して売っちゃえ。これが秘策その一ね。浪速屋が気づいているか判らないけど、この3系統の薬は忍者さんも作れるのよ。それからもう一つの秘策、忍者さんが全ての材料採集が可能なことを逆手に取った作戦。
この秘策と作った薬を抱えて、また浪速屋の隣に正座したわ。いぶかしげな顔の浪速屋に、ニコッと微笑んで大声で叫んでやった。
「はーい! 薬の大安売りですよー! 『どこよりも』安くなってますよー」
そして一呼吸おいてもう一声。
「それから忍者さんは材料持ち込みしてくれればタダでお薬作ってさしあげますー」
利益は出ないけど、作ることで生産技能の修得が稼げるもんね。仮に私のところじゃなくて浪速屋のところで作ってもらったとしても、忍者さん自身のためのお薬作成用に材料が消費されるわけだから、その分浪速屋の商品は少なくなるってわけ。

浪速屋の周りにいた忍者さんの視線がこっちに向けられるのを感じたわ。

解説  
  • 薬は「粉」「丸」「丹」とレベルが上がっていく。当然「丹」が一番効果がある。
  • 作る薬のレベルが上がると、より希少価値の高い材料を必要とするようになる。
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