主人公「早く制服を返して。元の世界に帰るんだから」
異世界に来たばかりの主人公に、藤姫は必死に訴える。
藤姫「どんなことがあっても、元の世界にお帰しするわけにはまいりません」
友雅「こらこら…それでは、神子殿が困ってしまうよ」
色気をまとった声が響く。
二人が思わず言葉を止めて振り返ると、一人の男が柱に寄りかかっていた。
藤姫「橘の少将殿。いらしてたんですか?」
「橘の少将」と呼ばれた男は驚いた顔の藤姫に微笑みを返し、視線を主人公に向けた。
手にした扇が、パチリと音をたてて閉じられる。
友雅「私は彼女に興味があったのでね」