真島ヒロ×菊地プロデューサートークセッション


ゲーム『FAIRY TAIL』の発売を記念して、原作者の真島ヒロ先生と本作のプロデューサー菊地啓介とのトークセッションを行いました。





菊地:本日はお時間いただきありがとうございます。

真島:制作完了お疲れ様でした。

菊地:ありがとうございます。本日はトークセッションということで、真島先生には、マンガのこと、「FAIRY TAIL」のこと、ゲームのことなど、いろいろお聞きしたいと思いますのでよろしくお願いします。

真島:よろしくお願いします。

子供のころのお話について

菊地:真島先生は、小さいころから将来はマンガ家になると思っていた、というインタビュー記事を拝見しましたが、マンガ家になりたいと思ったきっかけは何だったのですか?

真島:ずっと小さいころから絵を描くのが好きで自然に「マンガ家になる」と思っていました。マンガ雑誌を見てマネして描いたのがきっかけでしたね。当時流行っていたマンガで「誰と誰が戦ったらどっちが強いか?」などを妄想しながら描いていました。

菊地:小さいころマンガ以外にもゲームも遊んでいたとのことでしたが、「ゲームクリエイターになろう」という選択肢はありましたか?

真島:ありました!自分がゲームマスターになって、画用紙から作ったキャラクターを友達に動かしてもらったりして、いわゆる“テーブルトークのサイコロが無い版”みたいな遊びをしていましたね。

菊地:私も小さいころゲーム機を買ってもらえなかったので、友達の家で好きなゲームキャラクターを穴があくほど見て覚えて、家でそのキャラクターのドット絵を描いて切り抜いて、“ゲームごっこ”をしていました。紙でブロックとかも作ったりして。

真島:すごい!自分でステージを作ったんですね!僕もやりましたねー。ドット絵ではないですが、自分で描いたキャラクターを動かして遊んでいましたね。

菊地:やっぱりみんな遊びますよね。ちなみに、小さいころご自分で描かれていた絵というのは、今先生が描かれているような“ファンタジーもの”だったりしたのですか?

真島:そうですね、ずっとファンタジーやバトルものが好きで小さいころから描いていましたね。

菊地:では、そのころからの自然な流れで「RAVE」や「FAIRY TAIL」に繋がったのですね。

真島:車とかビルとか実際にあるものって描くとき嘘つけないんですよ。違う車じゃないか、とか違う建物じゃないか、とか言われてしまったり。でもファンタジーって「これ僕が考えたんだから」って言えばいいので気が楽です(笑)そんなこともあって、今でもずっとファンタジーが大好きです。

菊地:なるほど(笑)

「FAIRY TAIL」について

菊地:ここからは「FAIRY TAIL」についてお話をお聞きしたいのですが、過去のインタビューでは、当初「FAIRY TAIL」を始めたときは全体までは考えていなかった、というのを拝見したのですが、実際どのくらいまで最初の段階で世界観などは考えられていたのでしょうか?

真島:全然考えてなかったです。

菊地:例えば“ギルド”とか“マグノリアの街”の世界観などは?

真島:いやぁ、全然テキトーですよ(笑)今後物語がどうなるかなんで全然考えずに、なんとなくで作ってました。ナツとイグニールの関係だとか、イグニールがどこにいるか、の設定だけは決まっていたのですけど、それ以外は、ほぼほぼ壮大な後付けですね(笑)

菊地:そうだったのですね!例えば、街などのデザインは、今作ろうとしているストーリーの部分で随時考えていく、という感じなのですか?

真島:そうですね。特に“マグノリア”などはフランスの街並みをイメージして作ってますし、ほかの街だと「ここはスイスっぽくしよう」とか、「ここはオランダっぽく」とか、色々すみ分けはしていますが、最初から全部の街が出来上がっていた訳ではなく、新しいエピソードに入るごとにお話しに合う街を考えていましたね。

菊地:ゲームの場合、最初にこんな世界で、こんな文化や文明で、などを最初に全部作るので、連載をしながらだとやはり作り方に違いがあって面白いですね。

真島:確かに。ゲームだとなかなか見切り発車できないですもんね(笑)

菊地:ゲーム「FAIRY TAIL」をプロモーションしている中で、各国のたくさんのメディアから色々質問をいただいたのですが、「真島先生の作品に共通して感じるものは何か」と聞かれたことがありました。私は根っこの部分には“仲間との絆”ではないかと感じたのですが、そのあたり真島先生は意識されていたりはしますか?

真島:“仲間との絆”・・・。やっぱり意識しているところだと思います。僕、友達少ないので(笑)こういう友達ほしいな、みたいな。憧れを描いているのだと思います。

菊地:“仲間との絆”はしっかり意識してゲーム化しよう、という思いはあったのですが、そのほかにゲーム化するうえで難しい点が2つありました。 1つはやっぱりキャラクター数が多いことですね。どうしても、ゲームはある程度限られた数をうまく活躍させて見せる限度やバランスが必要だと思っているのですが、お話が進んで盛り上がってくるとどんどんキャラクターが増えていくので悩みましたね。あとはバトルですね。決め技となる魔法はありますが、そこまでに至る駆け引きの部分をどうゲームに落とし込むか、というところも大変だなと感じました。そういうところも含め、本作では“ギルドを育てる”、“仲間との絆を育てる”というシステムなどをベースにRPGとして制作しました。

真島:やっぱりキャラクターは多いですよね。多くてすいません(笑)

真島先生が生み出す魅力的なキャラクターについて

菊地:キャラクターのお話になったのでお聞きしたいのですが、「FAIRY TAIL」の魅力の1つとして“敵キャラが魅力的”という点が挙げられると思います。どのようにエピソード毎に敵キャラを作っていくのですか?

真島:やっぱり、少年マンガってインフレしていくんですよね。新しい敵が出てきたら絶対それより強くなければならないって。毎回、バリエーション考えるのは大変なんですが、同じに見えないように意識しています。“今回は威圧感あるやつにしよう”とか、“ケタケタ笑うキャラにしよう”とか。

菊地:ちなみに、“後で仲間になるキャラクター”って、どういう経緯で仲間にさせようと考えているのですか?

真島:代表的なのはガジルとジュビアですよね。あの2人は最初から仲間に、とは考えていなかったですね。もちろん最初から仲間になる想定で考えているキャラクターもいますが、ガジルとジュビアに関しては一過性のキャラのつもりでしたが、思いのほかどちらも好きになっていったので、もったいないなと(笑)仲間になったら意外かな?と思って仲間にしてみました。週刊連載ってすごい成長していくものなので、読者の反応や自分のペンのノリで変わっていくこともありますね。

菊地:真島先生には、本作の発売に際して「一夜を使って世界を冒険するのが楽しみ」というコメントをいただきましたが、こういうパーティを組んでみたい、などありますか?

真島:うーん・・僕はやっぱり女性だけで組みたいかなあ。ルーシィ、エルザ、ウェンディ、ジュビア、ミラとかで。女性パーティだと華やかですよね。

 

菊地:今回、衣装DLCで水着もご用意しているので、それを着たらさらに華やかになりますね。

『FAIRY TAIL』のゲーム化について

菊地:過去、携帯機やスマホアプリでの「FAIRY TAIL」ゲーム化はありましたが、今回据え置き機でのゲーム化は初となります。ゲーム化発表の際にはファンのみなさんから様々な反応がありましたが、その中でも印象的なものはありましたか?

真島:アクションゲームも良かったなーってのはありましたね。確かに、アクションゲームもアリだなと思いました。

菊地:確かにアクションもいいですね。今回は、アクション苦手な人もいる中で広く楽しんでいただくために、今回は“ギルドや仲間を育てる”というのを軸にRPGで舵を切らせていただきました。

菊地:本作のゲーム化にあたり、はじめてゲーム画面でナツたちが動いているのを見ていただいたとき、マンガやアニメと比べていかがでしたか?

真島:マグノリアの街を実際に歩けことは、僕の夢が1つ叶ったなと思いました。僕は、設計図を書くタイプのマンガ家ではないので、自分の頭にしかなかったものが、良く形になったなと思いました。ちょっとビックリしました。

菊地:街を表現するのに半年かかりました(笑)とにかくアニメでもマンガでも、いろんな角度を研究したりして。

真島:ただ、マンガを読むと見るたびに違ってるかも(笑)

菊地:街の中にはニコラのキャンディなどを集めてルーシィの部屋に行くと集めた数に応じてご褒美がもらえる、といった収集できる遊びもあるので、そういったものも含めて街歩きも楽しんでほしいなと思います。

真島:いろんな遊びを楽しんでほしいですよね。

菊地:僕は、このゲームは“「FAIRY TAIL」ごっこ”をしたいという願望で作っていました。“自分ならこのパーティを組んでみたい”とか、“普段だったら仲間にならない強いキャラも仲間にしたい”、など、それぞれが思い描いた遊び方をできるようにしたいなと。

真島:ユーザーのみなさんには、自分のこだわりのパーティとかで遊んでほしいですね。

菊地:その様子をぜひフォトモードで楽しんでほしいです

真島:みんなにたくさん投稿してほしいなー。楽しみです。

菊地:ゲーム制作の中で感じたマンガとの違いとして、「テンポ感」が一番違うと感じました。ゲームって、大目標があって中目標、小目標があってと、それの繰り返しで構成されて出来ていくものだと思うのですが、マンガってエピソードの長さがそれぞれ違ったりしますよね。真島先生は作品作りの中で、1つのエピソードとかをどれくらいのサイズ感でいつも考えられているのですか?

真島:これはもう本当テキトーです(笑)最初のうちは、キャラも少ないので結構短くまとめられるんですよ。単行本で言ったら1~3巻とかで。ただ、だんだんキャラクターが増えてくると、いろんなシーンを描かなければいけなくなるので、気づいたら1エピソードで5~6巻かかったりすることが平気でありますね。個人的には短くまとめられたらいいと思うのですが、でもこれはどのマンガでも宿命ですよね。

菊地:「FAIRY TAIL」では、大体いつも最初に敵の数が何人くらいいます、って出てくるじゃないですか。ある意味“宣言”みたいなものですよね。

真島:宣言した時には、僕の中では、1人1週で倒せるだろうとか、こいつは当て馬的に瞬殺されるだろう、とか計算しているはずなんですけどね(笑)なかなかそうは行かないんですよね。

菊地:それがいい意味で揺らぎになって、逆に予定調和ではないライブ感が楽しいのだと思います。

真島:“読者がこうなってほしい”というものを、いい方に裏切っていくのが仕事だと思っています。もちろん王道展開も外せないですが、やはり期待を裏切る、というのも大事にしたいなと思います。

菊地:ゲームの話に戻りますが、本作を真島先生にご監修をいただいているなかで感じたのが、「ファンが喜んでくれるか」の視点を徹底されているということでした。

真島:そこに尽きますよね。

真島:ゲーム制作っていろいろな制約がある中で作られているのだと思うのですが、マンガってそれがほぼ無いと思うんですよね。昔から先輩に「自分が描きたいものより、読者が喜ぶものを描け」とずっと言われてきました。その精神をずっと持っているので、できる限りゲームでもそれが再現できればいいなと思いながら監修をさせていただきました。

   

ゲーム好きな真島先生が作ってみたいゲーム

菊地:ゲーム好きで有名な真島先生ですが、もしご自身がゲームクリエイターとなったら、どんなゲームを作ってみたいですか?

真島:もし予算がいくらでもあったとして?(笑)

菊地:予算がいくらでも・・うらやましいな・・・(笑)

真島:もし予算を考えなくていいのであれば、アクションベースのオープンワールドゲームを作りたいですね。ファンタジー世界の要素ありで。もちろん僕のキャラクターが出てくる、というのもいいですし、オリジナルキャラでもいいのですが、オープンワールドのアクションが好きなので作ってみたいですね。

最後にユーザーのみなさんに一言

菊地:最後に真島先生から、みなさんへ一言お願いします。

 

真島:「FAIRY TAIL」ファンはもちろん、ガストさんが制作されているという意味でも「アトリエ」シリーズファン、さらにそれ以外の多くの方にも、ぜひ体験してほしいなと思います。

 

菊地:ありがとうございます。発売までお時間はいただいてしまいましたが、その分いろんな要素を詰め込んで、多くの方に楽しんでいただけるように「FAIRY TAIL」の魅力を凝縮したゲームになったので、ぜひ世界中の方々に手に取っていただきたいと思います。

真島:ぜひ楽しんでほしいですね。




タイトル
FAIRY TAIL
対応機種
PlayStation®4 / Nintendo Switch™ / Steam®
ジャンル
RPG
発売日
2020年7月30日 発売
価格
通常版:8,580円(税込)
GUILD BOX:14,080円(税込)
Digital Deluxe:10,780円(税込)
CERO