西欧各地の宗教動乱、そして北フランドルの分離独立戦争――。 無用な戦が絶えぬ昨今、戦場には日々新たな兵器が導入されている。そして、それら兵器から新たに生み出される陸戦術は、俺たち船乗りの戦いにも確実に影を落としている。

例えば、俺が敵の将官と斬り合いになったとしよう。 その時、間違いなく、俺は背後から、敵の部下に弩で狙われている。その弩から放たれた矢を運良くかわすことができたとしても、さらに遠方の死角からは、狙撃手の銃口がこちらを向いているという有様だ。 一昔前なら「一騎討ちで勝敗をつけん」といったところだろうが、今では、古の騎士よろしく、正面から斬り合っていては、命がいくつあっても足りぬというわけだ。

こんな非情の世にあって、確実に兵の命を拾うために編み出された集団陸戦術。 それが、これから貴様らに教えていくレンジシフトバトルだ。



陸上戦に突入した艦隊の面々は、各自装備している武器の種類に応じ、前衛・中衛・後衛の三列に分かれて布陣する。この立ち位置をレンジと呼ぶ。剣や槍を装備しておれば前衛、短剣ならば中衛、銃ならば後衛となる。レンジ同士には有利・不利の関係(相性)があり、また、各レンジから攻撃できる範囲は、武器の射程によってまちまちだ。

それではここで、陸上戦の一例を話そう。
布陣した時に、味方が前衛に固まっていたとしよう。このままでは、敵の後衛にこちらの攻撃は一切届かぬ。こんな状況に陥った場合、 後衛に有利な中衛に移動すべく、武器を短剣に持ち替えればよいわけだ。
ただし、武器を持ち替える際は、己の職業と武器の相性にも気を配るがよい。職業ごとに苦手とする武器もあるゆえ、間違ってそのような武器で戦えば、通常の半分ほどの威力しか出せぬぞ。

このように、敵の布陣に応じ、最も有利な位置へ迅速に動くことこそ、戦いに勝利するための第一歩となるだろう。

盾となり味方を守る者と、後方から敵を狙う者。各々の役割が決まり、陣形が整ってからが、本当の勝負の始まりだ。
各自が、己の役割に応じた戦い方、すなわち攻撃モードを選び、敵に挑むのだ。
攻撃モードは、ノーマル、チャージ、ガード、クイック、リカバーの5種類がある。
例えば、チャージならば攻撃力が上がり、防御が下がる。
ガードならば、逆に防御力が上がり、攻撃力が下がるといった具合だ。

これらの使い分けについては、実戦に即して話したほうが、想像しやすかろう。
下の布陣では、前衛にしか敵はおらぬ。
敵はこちらの後衛を攻撃できぬため、前衛を倒そうと躍起になる。
こんなとき、こちらの前衛は、敵の集中攻撃から身を守るため“ガード”を選択すればよい。
また、攻撃を受ける心配のない後衛2人は、“チャージ”で攻撃に徹すればよいわけだ。

以上のように、状況に応じて“攻撃モード”と“レンジ”を使いこなすことができれば、たとえ敵が格上であったとしても、互角の勝負に持ち込めるであろう。

戦闘を続けた末に、レンジ一列が全滅すると、陣形に異変が生じる。
それがこのレンジ破壊だ。
“レンジ破壊”が起こると、破壊された列よりも後方にいる者は、敵側の近くへ引きずり出され、大きな隙を見せることになる。すなわち、レンジを破壊した、その瞬間こそが勝負の分かれ目となるわけだ。
ここぞとばかりに味方との連携攻撃で畳みかけ、敵残存部隊を一挙に掃討するがよい。

これまでに教えてきた“レンジ”を利用した武器攻撃だけが、“レンジシフトバトル”の全てと言うわけではない。 従来の陸戦と同様、戦闘補助用のアイテムを使えば、味方を回復したり、敵の動きを止めたりすることも可能だ。そこへさらに別の補助アイテムの効果を重ねることで“アイテムコンボ”と呼ばれる特別な効果が得られるのも、従来通りと言える。

だが、実はこの“アイテムコンボ”に、ある秘密が隠されているらしい。
“アイテムコンボ”を発動させた者が、いくつかの条件を揃えていた場合、さらに強力な攻撃を連続して繰り出すことができると言うのだ。 この特別な攻撃は、船乗りどもの間でフィニッシュアーツなどと呼ばれているが、その条件は、いまだ詳しくはわかっておらぬ。 隊員どもの話によれば“職業系統”や“レンジ”、“攻撃モード”と密接な関わりがあるらしい。

詳しい条件は“決闘”などの機会に、貴様ら自身の手で解き明かしていくがよかろう。

以上で、俺の教練は終了だ。 ここで学んだ陸戦術を実戦に生かし、勝利を収められるか否かは、貴様ら自身の腕、そして戦友との連携にかかっている。
いずれ貴様らと共に、戦場で戦える日が来ることを楽しみにしておるぞ。

黒鯱傭兵艦隊隊長バルタザール・オリベイラ
「マディラ島における海兵教練の抄録」より

フワン おそいなぁ、アルヴェロ。先に来てるはずなのに、どこいったんだろ…。あっ、来た!
アルヴェロ いや、ゴメンゴメン! 急にいい儲け話が転がり込んできてさ。見てくれよ、このマスケット銃。新大陸にいる軍人に売ったら、きっと儲かるぜ。
フワン もぉ〜! そんなことより、早くしないと船が出ちゃうよぉ!
アルヴェロ 大丈夫、大丈夫! ほら、こいつを見なよ。
フワン [セビリア発−サントドミンゴ行]? ねえねえアルヴェロ、これなぁに?
アルヴェロ 定期船の航行情報さ。世界中の定期船の出航時間と到着時間が全部書かれてるんだ。この船の出航は15分後。今からでも十分間に合うぜ。
航行情報は、ゲーム内の時間ではなく、現実の曜日・時間に合わせて書かれています。
なお、定期船の運賃・航行情報は、開発中のものです。
製品版では変更になっている場合がありますので、ご了承ください。
アルヴェロ それじゃ、さっそく乗船手続きといくか。
お役人さん。20時発のサンタ・エウラリア号に2名乗せてくれ。
出航所役人 運賃は、お1人様392,000ドゥカート。お2人で784,000ドゥカートになります。
アルヴェロ (うっ、結構するな…)
出航所役人 ところで、あなたがお持ちのそのマスケット銃、もしや交易品では…?
アルヴェロ そうそうこれね。あっちに駐屯してる軍人に売ってやろうかと…。
出航所役人 申し訳ありませんが、船内への交易品の持ち込みは禁じられております。
アルヴェロ え、そんな…。どうしてもダメなのか?
出航所役人 はい。各国間の交易協定により、違反者は即監獄送りとなっております。
アルヴェロ か、監獄!? フワン、ちょっとここで待っててくれ!
フワン あっ、アルヴェロ、どこ行くの?
アルヴェロ 広場に戻って、この銃、返品してくる!
フワン ええぇぇぇ〜!? 出航まで、あと5分しかないよぉ!
船内に持ち込めるのは、アイテムのみで、交易品は持ち込めません。
また、クエストを請け負った状態でも乗船できません。ご注意ください。
アルヴェロ ふぅ、なんとか間にあったな。
フワン ねえ見て見て、アルヴェロ! 人がいっぱいだよ。
アルヴェロ ああ、なにせ定期船は週に数便。しかも、短い時間安全に新大陸まで行けるんだから、これだけ人が集まるのも当然さ。
フワン あれ? あそこにいるお兄さんたち「仲間募集中」だって。
アルヴェロ なになに? 「新大陸で船部品の材料集めを手伝ってくれる仲間、募集中」か。うん、面白そうだな。俺も混ぜてもらうとするか!
フワン わ〜い! 僕も混ざる〜。
同じ行き先の航海者が集う定期船内は、新たな仲間と出会う絶好のポイントとなるでしょう。

フワン ねえねえ、アルヴェロ。
アルヴェロ ん、どうした?
フワン なんかさ、さっきからいいニオイしてない?
アルヴェロ ああ、船内の食堂からだな。給仕さんが食事を出してくれるのさ。
そういや急いで乗ったせいで、夕飯まだだったな。それじゃメシにするか!
フワン うん、する! メシメシ〜♪
定期船ごとに様々な趣向を凝らした味が楽しめます。
フワン ぷぅ〜。僕、もうお腹いっぱい。それに、なんだか眠いや…。
アルヴェロ そうだな。俺もなんだか、急に疲れが…出て…きた……。Zzzzz。

フワン アルヴェロ、早く起きて!
アルヴェロ むにゃむにゃ、イレーヌさん、俺、もう食えないよ…。
フワン ほら、起きてってば! さっき乗ってたお客さん、誰もいないんだよぉ!
アルヴェロ なっ! ウソだろ?!
なあ案内人さん、今何時だ!? サントドミンゴには、あと何分で…。
案内人 おやおや。お客様、どうやら寝過ごしてしまったようですね。この船はすでにサントドミンゴを出航し、セビリアへの復路便として航行しています。到着はおよそ10分後、0時ちょうどを予定しています。
アルヴェロ ちょっ…、そんなあぁぁぁぁ……!
このような事態も考えられるため、乗船中の“寝落ち”や、長期間の離席には、
十分ご注意ください。


アルヴェロ・サルミエント「少年期の航海日誌」より再現