見知らぬバスの中で目が覚めたかなでは、そこで出会ったニアと名乗る美しい少女とともに
函館天音学園が所有する洋館に泊まることになった。
自分がなぜバスに乗っていたのか、その前に何をしていたのか、全く思い出せないかなでは
これからどうなってしまうのか…ベッドの中で不安に押し潰されそうになっていた。
そんな時、どこからともなくフルートの音色が聞こえてくる。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」の透明で美しい音色。
窓を開けると洋館の庭に、月夜に照らされフルートを吹いている少年がいた。
その少年の周りには、キラキラと舞い踊るように光っている「何か」が見える。
その光は少年の奏でる音色に合わせ、美しく舞う。
不可思議な光景とフルートの音で、かなでの不安な気持ちは次第に溶けていくようだった。