かなでは目が覚めると不思議なバスに乗っていた。 車内アナウンス「次は陣川、陣川——。お降りのお客様は、降車ボタンを押してください」 静かに走るバスの車内アナウンスの声で目覚めるかなで。 隣を見ると、バスの窓にもたれかかり、こちらに視線を向けている美しい少女がいる。 ニア「不安そうな顔をしているね。何割かはそういう顔をするものだ。心配することはないよ。どうせ目的地は終着駅だ」 「乗り過ごすことはない。君も「函館天音学園」に行くんだろう?」 自分の身に何が起こっているのかわからず、困惑の表情を浮かべるかなでに少女が、こう説明する。 ニア「君が自分の意志で選んだのか、それとも選ばれたのか知らないが……君の向かっている先は、函館天音学園という場所だ」 「そう不審そうな顔で見ないでおくれ。その制服が何よりの証拠なのだから」 「私はニア。——君は?」 名前を聞かれ、答えるかなで。 ニア「そう、小日向かなでというのか。不思議と耳なじみのいい名だ。なんだか懐かしい気さえするよ」