武田信玄は上洛を決意、信濃へ進発した。真田幸村、くのいちがそれに従う。
一方、信濃の山向こう越後では、上杉謙信が何を思うか、月眺め、盃を傾けている。
信玄は、無駄な戦いをやめるよう通告するが、謙信からの返答はなかった。やがて軍配が振られる。
そのとき、武田の陣から上るわずかな炊煙を、謙信は見逃さなかった。信玄の奇襲を見抜き、速やかに妻女山を降りるよう全軍に下知したのである。幸村が妻女山に着いたときには、敵陣はもぬけの殻であった。本陣が危ないと悟って、とって返すが…。まんまと信玄の裏をかいた謙信は、幸村が戻る前に決着をつけんと、信玄の本陣へと切り込んでいった。