鉄鼠てっそ

怨念を抱いて死んだ僧侶が巨大なネズミの姿の妖怪と化したもの。ネズミは古来、最も身近な害獣であり、弥生時代の高床式倉庫にはすでにネズミ返しの工夫が見られる。ネズミの食害は穀物だけでなく和紙にも及んだため、多くの書物を蔵する寺院にとってネズミの害は深刻であった。仏門の敵というべきネズミの姿に僧自らがなるというのは、仏門に対する深い絶望と憎悪があったものと推察される。