コハクの亡き母の墓参りに同行することになった梓。
コハクは墓前に手を合わせると、梓を母に紹介した。
- コハク
- 「――母さん、わかる? この人が梓さん。
いつも話してるよね。おれにコハクって名前をくれた大事な女神様だって」
- コハク
- 「……とても優しい人でね。帰る家が別にあるのに帝都を救うために今も残ってる。
居候のおれにも親切で戦う姿も強くて、かっこよくて、あと、綺麗で――」
- 梓
- 「ちょ、ちょっと? そこまで行くとさすがに脚色が過ぎない?」
- コハク
- 「ふふ、そんなことないってば。
ねえ、母さん。彼女に命を救ってもらったおかげでおれは、今生きてる。
本当は、おれはそれだけでありがたくて自分に望むことなんてもう、ないんだ」
コハクの言葉は徐々に熱を帯びていって……