浅草公園にできた観覧車に乗った、梓とコハク。
受ける風の心地よさにはしゃいでいたコハクだが、ふいに言葉少なになって……。
- 梓
- 「コハク、観覧車からの景色、気に入ったみたいだね」
- コハク
- 「あは…わかる? こんなふうに上から浅草を眺めるのって
初めてだから、不思議な気持ちで」
- コハク
- 「ここにいると、それぞれ、生活している人の姿がよく見えるよ。
おれは将来、どんなふうに帝都で働くようになるのかな…なんて思わず考えちゃう。
人を幸せにする仕事って言ってもホントいろいろあるものね。
戦って、人を守るのもいい。
大道芸して、子どもを毎日笑わせるのだって、素敵な仕事だ。
お店勤めだっておれは好きだし──。
何か手に職をつけて
帝都以外の場所を渡り歩くのも悪くないでしょ」
- コハク
- 「──梓さん。夢っていいね。想像すると止まらなくなる」
コハクの瞳はきらきらと輝いていた。青春の始まりを予感させるように。