「おじいちゃん明けましておめでとー!」
「おお、ニナや。明けましておめでとう。ユミルカはどうしたのじゃ?まだ起きてこんのか」
「おじいちゃん明けましておめでとうー」
「おめでとうユミルカ。眠たそうじゃな」
「昨日お母さんといーっぱいお話したんだ。カリブでもヨーロッパでも、お母さんはお空で見ててくれるんだね」
「…そうか。お母さんは星になったんじゃったな」
「うん。きっと昨日はお父さんもどこかで、お母さんとお話ししてたと思うよ〜」
「今年こそはお父さんに会いたいね!」
(二人のお母さんや。どうかいつまでも二人の行く道を見守り照らしつづけてくだされ。二人のお父さんや。どうか二人が迎えに行くまで無事でいてくだされ。わしは二人を立派な大人にしてみせよう…)
「おじいちゃーんお腹すいたー!」
「ごはんはー?」
「イザベル、明けましておめでとう!」
「うふふ。明けましておめでとう、ペドロ。今年の目標はもう決まったの?」
「イワシ祭りのときなんて、ホセさん、ユミルカちゃん、ニナちゃん、それにたくさんの航海者さんのお世話になって」
「みんなに祝福されて、ボクたち結婚したんだよね」
「そうよ、ペドロ。私たち幸せ者なんだから!」
「それじゃあ、イザベルの目標は?」
「決まってるじゃない。あなたを支えていくことよ」
「イザベル…。 ボク、嬉し…」
「だって、ペドロは服のセンス悪いし、寝坊はするし」
「…ちょっと、イザベル」
「それに、仕事でもお義父さんに怒られっぱなし…」
「……」
「今年も二人で頑張っていこうね、ペドロ!」
「…うん」
「新年といってもすることもなし。ふぁ〜あ、テオドール様こないかねぇ」
「新年おめでとうございます、ポーリーヌさん」
「はい、おめでとさんね… って、テオドール様!?」
「実に気持ちのいい年明けですね。いかがでしょう、今年の抱負をお聞かせ願えますか?」
「抱負と申されましても、そんな…」 (今年こそテオドール様のハートをゲット!! なんてね…)
「僕にはありますよ。気ままに旅を続けながら、僕の宝物を見つけることです」
(宝物って、チャーンス! 立候補するんだポーリーヌ!) 「わたく… しは、その宝物に」
「マドモアゼル? 顔が赤いですよ、どこかお体でも?」
「宝物になりた…」
「これポーリーヌ! 新年からいつまでも寝てるんじゃないよ」
「宝物になりたい! んぁ伯母さん!? あれ、テオドール様は?」
「なに寝ぼけてんだかね。とっとと目を覚ましてご近所さんに挨拶でもしてきな」
「夢かい…。今年もこんな感じかもしれないねぇ。やれやれ」
「リュシアン、ディートリヒ、明けましておめでとう!」
「おめでとうございます、リーダー」
「めでたいんだな」
「こらディートリヒ! 新年の挨拶なんだよ。きちんとやりなさい!」
「…明けましておめでとうなんだな」
「ウフフ。二人とも、今年の目標は決めてきた?」
「ええ。私の目標は、ママンの笑顔を守り続けることです」
「ステキな目標ね、リュシアン。それじゃあ、ディートリヒは?」
「オイラは腹いっぱいの肉を食うことなんだな!」
「まったく、お前の食欲には呆れてしまうな…。ところで、リーダーの目標はなんですか?」
「アタシはね、毒蜂一派をもっともっと大きくすることだよ」
「おお! さすがリーダー!!」
「そうすれば、リュシアンのママも守れるし、ご飯だっておなかいっぱい食べられるもんね!」
「リーダー… 美しいだけでなく、聡明なお方だ…」
「目標を決めたら腹が減ってきたんだな」
「ウフフ。よーし、家に帰って新年のパーティだ!」
「オー!!」