青葉城址に立ち寄ったかなでは、伊達政宗像の下に人だかりが集まっているのに気づく。 その中心にはチェロで美しい調べを紡ぐハルの姿が。 観客「あんなに上手に弾けるなんてすごいわ……」 ハルの奏でる音色に聞き入る観客たち。 だが、ハルは自分の演奏に納得していない様子。 ハル「……今の演奏では、駄目だな。まだ、正確性に欠けている」 「――よし。もう一度、同じパッセージを……」 観客「うまく弾けてるのに、さっきから同じところばっかりね。」 同じ場所を繰り返し練習し続けるハルに、観客たちの足も次第に遠のいていく。 いつの間にか、観客はかなでひとりに。 ハル「よし……! 今の音なら、問題ないだろう」 ようやく納得の行く演奏ができたらしいハルは満足気に、チェロから意識を外す。 ハル「……あれ? 小日向さん。僕の演奏聞いていたんですね」 「上手く弾けるようにと、それだけに没頭していました」 「自分が思い描く指の動きを完璧に身につけたくて。何度も練習していたんです」