下校時、七海とかなでは少し寄り道して帰ることに。
コンビニで七海オススメのアイスを買い、公園のベンチに腰掛けるふたり。
七海「それじゃ、いただきます」
  「はあ〜〜〜〜〜。冷たさが全身にしみ渡って、生き返るみたいです」
  「それに……、なんだか今日は、いつもよりおいしく感じます」
アイスがおいしく感じるのは一緒に食べているから? と問うかなでに、うろたえる七海。
  「……えっ!? あ、そ、そうですね。そう…かも、しれません」
  「先輩と一緒だからです。アイスがおいしいのも、寄り道が楽しいのも」
  「他の人と一緒だったとしても、きっとこんな気持ちにはならない。
   オレ、先輩のこと本当に尊敬してるんですよ」
七海が言い終えたその時、いきなり突風が吹き砂ぼこりが舞い上がる。
  「うわっ……。いてて、今の風で、目に砂ぼこりが……。先輩は大丈夫でしたか?」
目をこする七海の顔を見ると頬にまつげがついている。
まつげを取ろうと黙って七海の頬に手を伸ばすかなで。
  「えっ、ちょ、先輩っ——…!?」
ふいに頬に触れられて赤面する七海。
  「な、なんで…そんな……急にオレの、ほ、頬に………っ!」
  「……え? まつげがついていたから……? ……そ、そうでしたか……」
  「……あ、動いたら取りにくいです、よね。す、す、すみません」
  「……………………」
思いもよらないかなでの行動に動揺する七海。
駆ける鼓動の音がかなでに伝わってしまうのではと思うほど、余計に速くなる鼓動。
  「(こんなのたいしたことじゃない。先輩は、ただの親切心でそれ以外理由もないんだから)」
  「(照れるほうがおかしいんだ。平常心…平常心を——)」
  「(保てるわけないよ、先輩の顔が、こんなに近くて! いいにおいがして頭が…クラクラしてきた)」