天音学園屋上のバラ園を訪れたかなでは、色鮮やかなバラが咲き乱れる温室で美しいピアノの音色を耳にする。
エオリアンハープ。ショパンの軽やかで美しい旋律だ。
「誰が弾いているんだろう…」音色に誘われるように、音のする方へ向かうかなで。
ピアノを弾いていたのは、意外にも冥加玲士だった。
冥加「——誰だ」
  「小日向? 貴様だったか……。妙なところで会ったものだ」
「思わず聞き入ってしまった」というかなでに、冥加は顔色ひとつ変えずに言う。
  「それはどうも。だが、絶賛されるほど難しい曲でもない」
  「たまには弾かないと指がなまる。」
何か言いたげで、思っていることがすぐ顔に出るかなでを見て、微笑を浮かべる冥加。
  「……………まだ何か言いたげだな。俺がこんな曲を弾くのは、そんなに意外か?」